未来はキミドリイロ

サイコメトリックアイドルを目指す心理学徒の勉強部屋です。勉強・趣味などについて書いています。

Axe-Fxと実機のエフェクターを組み合わせて鳴らす方法

Fractal Audio社が提供するギターマルチプロセッサーで,Axe-Fxという機材があります。
今はもう生産完了となったStandard,Ultraから,現在入手できる2,XL,XL+と多くのラインナップがあり,最近ではエフェクト部分だけ取り出したFX8や,アンプモデリングも使用可能としたフロアタイプのAX8などが話題となっていて,日々発展し続けるデジタル機材をリードいている商品の一角と言えるでしょう。

Fractal Audio Systems / AXE-FXII XL PLUS

Fractal Audio Systems / AXE-FXII XL PLUS

私も現在FWのアップデートは終わってしまっていますが,Axe-Fx Ultraを所有・愛用しています。
さて,今回はこのAxe-Fxと,実機のエフェクターを組み合わせて使う方法について備忘もかねて書いてみようかと思います。
状況設定としては,例えばすごくお気に入りの歪みエフェクターやコンプレッサー(i.e. コンパクトエフェクター)があって,Axe-Fxでのアンプをベースにそれらのエフェクターも使用したい,という場合を考えます。
もしくは,Axe-Fxはアンプシミュレーターとして導入し,各種エフェクトは既に組んであるエフェクトボード(ペダルボード?)を利用したい,という問題意識です。
ここでは,パワーアンプを併用してキャビネットを鳴らす,という使い方ではなく,モニタースピーカーに直で送るという状況を考えます*1

3種の接続方法

  • INSERT(INPUT)の前

ギター⇒エフェクター⇒Axe-Fx⇒スピーカーとい接続順です。
Axe-Fxをアンプとして使用するようなイメージでいるならば,歪みペダル,ワウなどはこの位置でもよさそうです。
この接続方法で気になる点としては,入力インピーダンスが挙げられます。
Axe-Fx2以降では入力インピーダンスも設定できるようですが,Ultraではサポートされておらず,フロント・リアともにINPUTのインピーダンスは1MΩで固定です。
フロントの入力端子はギター直結に最適化されて少ノイズ化されているそうなので,ハイインピーダンスの信号を送るのが適切であると予想されます。
間にエフェクターを挟むことでインピーダンスが小さくなり,少ノイズ化の恩恵を十分に受けられなくなることがあるかもしれない,とFractal Audioの中の人ことクリフの発言からもうかがえます。

Cliff: "A buffer will render the impedance stuff ineffective. It will also add (maybe considerable) noise which may defeat the low-noise advantage of the front input."

多くのアンプにおいてINPUTのインピーダンスは1MΩらしいので,ペダルボードのアウトをアンプのインプットにつなぐのと同じ感覚になりそうなイメージを個人的に持っており,大きな影響は無さそうな気もします。

  • OUTPUTの後

ギター⇒Axe-Fx⇒エフェクター⇒スピーカーという接続順です。
一番最後にエフェクターが作用するかたちになるので,これもAxe-Fxをアンプとして使用するというイメージならば,この位置には空間系を置くことができそうです。
実機のアンプにおけるセンドリターンのようなものなのかもしれませんが,通常のセンドリターンでは入力信号がプリアンプを通った後,センドリターンを経てパワーアンプに,というルートを通ります。
一方で,この接続方法ではプリアンプ,そしてパワーアンプに準ずるものはAxe-Fxが担当しているので,この点がやや気になります。

  • EFFECT LOOP(FX LOOP, FXL)ブロックを活用する方法

ギター⇒Axe-FX(input)⇒send⇒エフェクター⇒return⇒スピーカーという接続順です。
すべてのエフェクターについて実行できる接続方法です。
ギターとインプットの間,センドからエフェクターへ,エフェクターからリターンへ,アウトから出力先へ,と4本のシールドケーブルを使います。
これをアンプヘッド(のプリアンプ)へと応用した方法は4CM(4 Cable Method)として界隈では有名ですね。
この方法はAxe-Fx内でFXLのブロックを動かせるのでかなり融通がききます。
一方で気になるのは,エフェクトループに回す信号(OUTPUT2)とそこから戻す信号(INPUT2)について,かなり音量ツマミを回さないといけない点です。
私は現在この方法で外部のエフェクターを接続していますが,事前にループ内のエフェクトをすべてオフにしたうえで,FXLブロックをオフにしたときの音量と,FXLブロックをオンにしつつエフェクトのかかっていない状態*2での音量とが聴覚上同じ音量になるように調整します。
このとき,既に述べたように音量ノブはかなり大胆に回さざるを得なくなり,OUTPUT2などは最大まで回し切るほどです。
音量ノブを最大まで回し切るというのは気持ちとしてはかなりハラハラしてしまうのですが,これは仕様なのでしょうか。
おそらくFXLの設定をいじれば回避できるのだと思いますが,FXLを使用する方法ではこうしたレベル調節の問題がついて回ることは書いておくべきだと思いました。
また,FXLの設定における「level」はループの後の音量であり,OUTPUT2から出力されるループへの信号の大きさではありません。

まとめ

以上,3種類の方法について簡単に書いてみました。
歪みペダル1つを使いたい,という場合であっても,INSERTに直で挿入するか,FX LOOPを活用するかでかなりの違いが出ます。
例えば,Axe-Fx内でコンプをかけてから歪みペダルに回したい,というときにはFXLからでないと対応ができません。
一方で何Axe-Fxを完全にアンプとして使うのであればややこしいことはせずにそのまま繋げばいいわけです。
用途によって,こういった方法を使い分けていきたいですよね。

*1:私がそのように使っておりますので。。

*2:ループ内がバイパスの状態とでも呼べばいいのでしょうか