JHS Pedals - Little Black Amp Box
これまでに掲載している記事とはかなり毛色が異なる,個人的な趣味に関する記事です。
今回はタイトルにあるように,JHS PedalsというメーカーのLittle Black Amp Box(LBAB)というエフェクターについての書きます。
JHS Pedals パッシブアッテネーター風ペダル Little Black Amp Box (国内正規品)
- 出版社/メーカー: JHS Pedals
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
まずは,代理店であるLEP INTERNATIONALの製品ページより紹介文を引用いたします。*1
Little Black Amp Box - LEP INTERNATIONAL
Little Black Amp Boxは、エフェクトループを持つアンプのために設計されたパッシブのアッテネーター風ペダルです。
アンプにSend/Returnのエフェクトループがあるなら、このLittle Black Amp Boxをエフェクトループに設置するだけで、プリアンプで飽和させた音をそのまま音量だけを下げ、ベッドルームレベルでチューブの歪みを楽しむことができます!
紹介文にもあるように,アンプのセンドリターンに入れてマスターボリュームのように使える,電源不要のパッシブなエフェクターです。
新宿にある某ビシバシ楽器店で在庫処分セールをやっており,税込6000円で購入しました。*2
購入した理由は,現在E.W.SからSubtle Volume Control(SVC)というペダルを所有しており,エフェクターボード最後段にてマスターボリューム(ボリュームペダル)として使用しているのですが,これに似ているなぁミニサイズだし置き換えられないかなぁと考えたためです。
- 出版社/メーカー: E.W.S.
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
ということで,LBABについてのレビューを適宜SVCと比較しながら書いてみようかと思います。
このペダルについてはかなり地味な働きをするからか,日本語の情報はほとんどないようですし,一定の価値はあるでしょう。
まずは外観です。
見ての通りミニサイズで,ボリューム一発という非常にシンプルなペダルですね。
中身は次の写真のようになっており,外観の印象を裏切らない圧倒的シンプルさです。
スイッチクラフト製のように見えるモノラルジャックが2つに,Alpha electronics社製100KΩ・Aカーブのポットが1つ,それをつなぐワイヤーが数本といった感じでしょうか。
材料費を計算すると,6000円(または45$)という金額に対して思うところができてしまうので考えないことにします。
中身はどう違うのか
中身の違いについて確認するにあたって,今回おおいに参考にしたSVCの中身について言及なさっている日本語情報のブログをご紹介いたします。
(勝手に紹介しておりますので,問題がありましたらご一報ください)
My Things:E.W.S. Subtle Volume Control Wiring Inside (EWS) - livedoor Blog(ブログ)
以後このブログのことは便宜的にブログタイトルであるMy Thingsさんとお呼びします。
また,SVCの中身は次の写真のようになっています。
これについては,はじめブログに掲載する予定はなかったので手が映り込んでしまっている気の抜けた写真になっていますがご容赦ください。
私は電子部品には疎いですが,My Thingsさんの記事を拝見すると,SVCとLBABの違いは大きく次の2つだと言えそうです。
- 配線の違い
- 可変抵抗器(ポット)の違い
ひとつずつ確認してみます。
配線の違い
どちらもボリュームポットが1つにジャックが2つというシンプルな構成ですが,内部での配線のしかたに細かな違いがあるようです。
うーん,この違いが何をもたらすのか,うーん。
適当ではありますが,2つの中身を並べて画像にしてみました。
ジャック部分にあるTとSはそれぞれTipとSleeveを意味しています。
Tipはホット,つまり信号が通る部分となっており,Sleeveはアースに落ちる部分となっています。
また,可変抵抗の部分にある数字はそれぞれ端子の番号となっています。
これをふまえて,素人目で気づいたことを箇条書きしてみます。
この部分については間違いがあるかもしれないことをおことわりしておきます。
- LBABでは,input側のアースがポットの1番につながっておりミュートされるときはこの部分が機能して入ってくる信号がミュートされている?対してSVCで1番端子につながっているのはoutput側のtip端子であるため,出ていく信号がミュートされるかたちになる?
- ボリューム最大となる3番端子について,SVCではジャックから3番に行った信号が2番からアウトプットへ行くかたちをとり,LBABではジャックから2番を通って3番,アウトプットと流れる?
なんだか,素人目にはSVCの方が理にかなった配線をしているような気がしてきました……。
一般には2番からoutputへ通るらしいので,LBABで2番にinputのtipから直で信号が通っているように思われるのはよくわかりません。
この配線の仕方が,「アッテネーター風」を謳うこのペダルのキモなのでしょうか,JHS Pedalsが適当な仕事をするイメージはあまりないので謎は深まるばかりです。
ポットの違い
My Thingsさんでは,SVCのポットは25KΩ2W・Aカーブの特殊なポットであるとされていました。
見た目にも大きいポットで,ワット数も大きいようです。
一方LBABでは,100KΩ(おそらく0.06W?)・Aカーブのポットであり,抵抗値とワット数は大きく違うようです。
抵抗値とワット数の違いが計算上どのような作用をするのかはわかりませんが,(流れる電流の量が変わるのかなーくらいの印象です)次のセクションで述べる実用上の違いに影響するひとつの要因なのでしょう。
実用上どう違うのか
調べものをしながら中身についての違いについて書いてきましたが,先にも述べたように私自身そのあたりには疎いので地に足のついていないレビューになってしまった感が否めません。
ということで,プレイヤー目線で,実際につなげて使用し,違いについて検討してみました。
音源などはありません,すみません。
手持ちのアンプシミュレーターにあるFX LOOPにつないでみました。
アンプ―キャビネット―ディレイ―FX LOOP―フィルター,という流れでFX LOOPにSVC,LBABを単体で挟み込み,ギターを鳴らしたあとにSVCまたはLBABでボリュームを操作してみる,という手続きです。
同じAカーブのはずですが,聴覚上SVCの方が使い勝手のよいマスターボリュームとして機能しており,音量の調整はボリュームペダルを踏んでいるときの音量変化のようにスムーズです。
LBABでは音量が最大(5時くらい)から9時くらいまではあまり変化せず,8時くらいから一気に小さくなるような印象でした。
また,LBABをツマミ最大でつないでいると,アンプシミュレーターでのループ内のインプットレベルが上がり,クリップしてしまうという不思議な現象に直面しました。
結論として,エフェクターボードに組み込むボリュームペダルとして使おうと思うとSVCの方が圧倒的に使いやすいように思います。
LBABは私には中身も働き方も難しいエフェクターのようです。
が,ポットと配線をSVC風味に改造してしまえば,穴あけをする手間なく使いやすいボリュームペダルにメルヘンチェンジできるのではないのかしら,とぼんやり考えています。
アンプのセンドリターンに挟むという正しい使い方とはやや異なりますが,アンプシミュレーターのセンドリターンに入れてマスターボリュームとして使うというほぼ誤りのない使い方をしてみての感想でした。
購入失敗だったかな,という考えが一瞬頭をよぎりましたが,この記事を書くにあたって随分勉強になったのでよしとしましょう。
まだメルヘンチェンジコースも残っていますし。
今度時間のあるときに,スタジオに行って私の予定しているボード最後段での使用ではどうなのかを比較してみようと思います。
最後に,今回参考にしたサイトを備忘もかねて参考文献としてリンクしておきます。
追記(162014)
こちらのページに掲載されているLBABの中身と今回購入したものの中身とが,微妙に違う気がするんですけれども……。
2014年10月絶叫日記
ここではinputとoutputのSleeve同士がSVC同様が繋がっていますが,私の手元にあるものではそこは繋がっていないようで,何が何やら。
某SPICEのようにスルーボックスを作る場合にはSleeve同士は結線するようなのですが,これは大丈夫なのかしら。
参考文献
(再掲)SVCの中身を分析されていたブログ
My Things:E.W.S. Subtle Volume Control Wiring Inside (EWS) - livedoor Blog(ブログ)
ボリュームポットこと可変抵抗器の仕組みについて,アニメーションでわかりやすく説明されていた記事
『ポット(ポテンショメーター)』 もっと自由に大きな音で!OZIMAS Guitar Atelierのブログ
同じく可変抵抗について,回路図風味でわかりやすかったもの
可変抵抗を使ってみよう : こた電 - こたつぁーの電子工作
抵抗やワット数などについて
抵抗