未来はキミドリイロ

サイコメトリックアイドルを目指す心理学徒の勉強部屋です。勉強・趣味などについて書いています。

final MAKE2 商品レビューというか、所感というか

久しぶりにイヤホンを買いました。
今使っているイヤホンは結構奮発して、高いもの、好きなものを買ったのですが、今回手に入れたものはコンセプトが面白かったのでついポチってしまいました。
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久方ぶりの記事ですが、今回はそちらのイヤホンについて所感を書ければと思います。
勢いにまかせて書いているので、記事としての構造化などは一切考えないスタイルで行きます。

届いたその日、手にして30分くらいで書いているので、どれだけ勢いで書いているか、よく言えばどれだけ衝動を突き動かされたかお察しいただけるのではと思います。


finalさん(http://snext-final.com/)、というスケートの羽生選手が使っていることで近年世間的な知名度が向上したブランドがあるのですが、そちらがMakuakeというクラウドファンディングのサイトで出資を募っていたイヤホンです。


商品名はMAKE series(http://snext-final.com/products/makeseries/)というもので、僕が手にしたのはMAKE 2というモデルです(MAKE2 | final)。
そのコンセプトが、”「自分だけの音」を見つける” なんです。


1月にCES2018に出張したときに見たbeyerdynamicさんの展示でも、個人にパーソナライズした音を提供できるんだ、というのがシルバーアワード的なものを取っていたと記憶していますが、その実現方法はアプリを活用し、年齢などのプロフィール登録や簡単なA/Bテストを行い、楽曲を鳴らす際のイコライジングを個人の趣向に近づけるというものでした 。
beyerdynamic MAKE IT YOURS App


一方、今回僕が手に入れたMAKE2は非常にアナログな方法で「自分だけの音」に迫ります。それは、イヤホンのハウジングを開いて中のフィルターをあれこれ試す、という物理的に音をチューニングするアプローチなのです。
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beyerdynamicさんのソフトウェア的なアプローチ (実際に中で何が起きているのかは詳しくないので、もしかしたらやっていることは似ているのかもしれませんが……) と真逆を行くようなfinalさんのアプローチを非常に魅力的に感じたため、今回購入に至った次第です。


テクノロジーの進歩は素晴らしいもので、世の中のあらゆるものが、より個人に適したものに、つまり「パーソナライズ」というキーワードに集約していくのはひとつの大きな流れなのかなと思います。
そんな中で、引き合いに出してばかりで申し訳ないのですが、beyerdynamic さんのアプローチは非常に「今風」というか、まあ順当に行けばそうなるよねという未来を堅実に取りに行った印象を受けます。


そうした潮流の中で全力で逆張りをするような (そうした意図はないのだと思いますが) finalさんのアプローチが僕に刺さったのには明確な理由が存在しています。
それこそが、自分で、まさに文字通りに手を動かして好きなものを探すというアナログさだと僕は思うのです。


普通に考えれば楽して良いものにありつけるというのは素晴らしいことで、finalさんのアプローチはその観点から言えばあまり良くないという評価もあるのかもしれません。
しかし、個人的にはそれを補ってあまりある価値を感じます。finalさんはユーザーに手を動かして物理的にチューニングさせるというコストを払わせることで、音質とは別の価値提供に成功しているのです。


beyerdynamicさんのアプローチではこちらの入力に対してアプリ内の演算というブラックボックスを介して音質が向上するという結果が得られる一方で、MAKEシリーズの場合には、こちらの入力がダイレクトに音質という結果として返ってくるという透明さがあります。これによってユーザーは「自分だけの音」を模索する過程で次のような3つのベネフィットが得られると僕は考えます。

1 イヤホンの構造により詳しくなる

中身をいじるのでこれはそのままですが、日本のオタクコミュニティ界隈がいかに詳しいかでマウントを取り合っているさまを見てわかるように、好きなものに詳しいということは、少なくとも本邦においてはその人の自尊感情を高めるものですし、かつ好きな対象への帰属意識を高めます。小難しい話を抜きにして、好きなことってより詳しくなると嬉しいですよね?もっと知りたくなるしのめりこみますよね?

2 イヤホンをもっと好きになる

タイトルに雑な言葉を選んだ自覚はありますが、あえてこのままで。
1番目と関連する部分もあると思います。好きな音を作る過程での操作可能性は、自ら作った「自分だけの好きな音」をさらに好きにしてくれる心理的な効果が見込めます。複雑すぎない適度な裁量を与えられることは、目の前にあるタスクを面白くするのです。面白いという感情の力はやはり強く、これも帰属意識を高めることに寄与します。フィルターとイヤーピースを変えるだけ、という操作可能な箇所を絞って明確にしてあり、かつそれがきちんと結果に影響を与える点が設計として素晴らしいと思います。

3 ユーザーコミュニティの形成

アプリケーションで自動最適化しないでアナログにチューニングする方法、そして選択肢を明確化してあることがポジティブに働くこととして、ユーザーコミュニティが形成される可能性も高いのではと考えています。

例えば僕が手にしたMAKE2では組み合わせが847通りあるとされていますが、当然一人で847通りを試すことには膨大な時間と手間が必要です。それを解決する方法として、自分が試した方法・他者が試した方法の共有があります。

あるセッティングAが良いという意見があったときには、それを試してみる者がいたり、試した結果自分には合わなかったということを表明する者がいたり、「ぼくのかんがえたさいきょうのくみあわせ」を声高に述べる者がいたりといった様々なアクションが見込めます。

音質というかたちのない感覚を扱っているため、カオスの様相を呈する可能性は高いですが、こうしたニッチな (と書くと失礼かもしれません、finalさんごめんなさい) 商品を愛する人たちの連帯感というのは中々高いものなので、きっとユーザーコミュニティができるのではないのかなと期待しています。

そうしたコミュニケーションの場が生まれるというのがユーザーにおけるひとつの価値だと思いますし、きっと、ブランドにとっても大きな価値だと思います。



肝心の音質的な評価は一切書いておりませんが、僕もこれからあれこれ試すのを楽しみにこの文章を書いているところですし、自分でカスタマイズできるものの評価を書くのもなんだか変な話だと思うのでそういうのは今回は書きません。


非常にときめきを感じた一品、逸品でした。箱を開ける前のワクワク感を久しぶりに感じました。finalさん、ステキな体験をありがとうございました。
その他、手元に届くまでのやりとりを通して企業としての真摯な姿勢を感じたことも個人的には良かったなと思います。


最後に書いておきますざ当然のことながらfinalさんの回し者ではございません、ひとりの音楽好きユーザーのコメントでございます。今回の件を通して応援しようという気持ちは強く持ちましたが、ステマではございません。念のため。


それでは、また筆に興が乗る頃にお会いしましょう。