心理学徒だから書ける文章って何だろう
森博嗣という名前の作家がいます。
『すべてがFになる』から始まる犀川&萌絵コンビの活躍はドラマ・アニメにもなりましたね。
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/12/11
- メディア: 文庫
- 購入: 16人 クリック: 241回
- この商品を含むブログ (586件) を見る
彼の作品を多く読んだというわけではありませんが,私は彼の文章が好きです。
文体が好き,というのではなくて,彼の書く文章が好きです。
森博嗣先生は工学博士の学位をお持ちで,Wikipediaによれば“コンクリートなどの建築材料の数値解析に関する分野(粘塑性流体の数値解析手法)”を主に専攻されているのだとか。
中学時代の友人が森博嗣先生のファンだったので,私も高校生だったか学部生だったかのときに『すべてがFになる』を読みましたが,タイトルの意味を理解したときには俗にいう脳汁が出るような快感を覚えたものでした。
森博嗣先生の文章は,キャラクターや作中で用いられるトリックなどに氏の専門性が遺憾なく発揮されている点が,私には非常に魅力的に見えます。
私もブログを書いてみようと思う程度には(巧拙は別として)文章を書くのが好きなので,先日某所で3000字程度の短い文章を晒しました。
セリフを挟まない地の文形式,一人称の語りのみで構成された文なのですが,実験的に心理学でも扱うような概念を意識して書いてみたものでした。
それ以外にも一部の場面を除いて感情を表す語は使わないなどの試みをいくつか盛り込んでみましたが,できあがったものを改めて読んでみると,やはり難しいのだということを思い知らされます。
心理学徒だから書ける文章とは何か,という問いには非常に興味があります。
安直にフロイトが~,ユングが~,なんて心理学の知識を挿入するのでない,つまり衒学にならないかたちで,心理学の要素をそっと混ぜ込む。
登場人物のキャラクター構成のような部分ではかなり可能なのではないかと思っていますし,いつか書いてみたいという気持ちもあります。
短い文章をいくつか書いていく中で,いつの日か心理学徒だから構成することのできた作品なんてものを一篇書き上げたいというのが小さな夢です。
雑記ではありますが,常に頭の中で問うていたいテーマのひとつなので記事にしてみました。